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Sauntering  古錆日記・気に入った物、コトをつらつらと。

A journey of the heart 3(二村ピッケル編)

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豊川を出て、お次に向かった所はこの旅のメインというか、
一番の目的であるこの場所へ向かいます。




豊川から豊田へ。





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そうです。



ピッケルの二村善市さん宅。
やっと・・・やっと、訪問することが出来ました。

6年振りとなります。









今更のお知らせで大変心苦しいのですが、
二村さんは自分の訪問した 約1ヶ月後、2019年の5月にこの世を去ってしまった。
訃報を人伝に聞き(自分の連絡先は言っていなかった)、
ちょっと落ち着いたらすぐに手を合わせに行こうと考えていました。



しかし、折しも世の中はコロナの始まりの時期であり、
日本全国で移動が規制されるような事態。
当然のように移動は出来ず、数年は無理だろうと考えていました。

最晩年と言える時期に知り合い、濃い時間を過ごさせて貰ったので
信じられないというか認めたくなかったという思いも混じり、
行きたい思いはありつつ、不義理と分かりつつ、なかなか決心がつかなかった。



その間、ブログでも触れる機会はあったのですが、
行ってもないのに記事にするのもどうかと思い、
書きかけの記事が残ったままだったのです。





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遡ること2週間前。



何か虫の知らせのような感覚があり電話を掛けてみたところ、
跡を継いだ次男である二村鉄夫さんの訃報を知ることとなった。
今年に入ってすぐに息を引き取ったとのこと・・・。
それはまさに青天の霹靂で、とてもショックを受けてしまった。




ただ、これは呼ばれていると思い、名古屋行きをその場で手配しました。
そんな経緯で今回の訪問となったのです。





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ご家族に温かく迎えていただき、
仏壇の前で長い間来られなかった事を謝り、これまでのお礼を。


おそらくたぶんきっと、向こうに行っても鍛冶仕事をしているだろう。
ご家族に色々お話を聞きながら、故人を明るく偲ぶ場になりました。






そして、気になっていた鍛冶場も見せていただきました。





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(これだけ時間が経っているから、片付けしているかも)
そんな事を思っていましたが、最後に来た時と殆ど変わらない。



横のドアから「ああ、来たのか。こんにちは」
と出てきてもおかしくないほどそのままです。






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「どう手を付けていいか分からず、そのままなのよ~」とのこと。
道具も作りかけの物も前と同じ。


どうして良いか分からないというのもありますが、
そのままにしておきたいという気持ちが強いんだなと感じました。





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ご家族と一緒に「ここにこれがあって、そうそう、これがああでこんな話をして・・・」
なんて、ここで二村さんと話したことなどを話しながら。
濃密な時間を過ごしたので配置も鮮明に覚えている訳です。



その時の二村さんは子供のようにいい表情で話をしてくれました。
普段の生活をしている時を知りませんでしたが、
もしかしたらご家族は知らない一面だったかもしれない。






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そうそう


この道具はこれで


ああで


こう使ってさ


ピッケルはこうで


前に試しに作って


長谷川さんは


山内さんのドリルは


それは無いから作ったやつだな


いいだろ


金属は本当に面白いよ


あんた変わってるな


この包丁は

 
このスピッツェは

 
この棚のやつはね



・・・・・
・・・・
・・・
・・





歳を取ったせいか、人や生き物の無常観に敏感になってきた気がする。
皆に平等に訪れるその時までどう過ごすかとか、時々しつこく考えてしまう。





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ここに来たらボロボロ泣くかもとか、空虚感に襲われるかなぁなんて思っていました。
が、ご家族と話をしている内にあまりそう思っていない自分に気付きました。
というのもご家族はとてもポジティブで、ここを活かして何かをしたいと考えているのです。
間違いなく前を向いている。


おばあちゃん(奥様)は「使える物は持っていっていいから」と言いますが、
「いや、これだけ残っているのは散逸させない方がいいです」となり、
お孫さんも同意見というか、話している内に何か湧き上がってきたようです。
凄腕の方の偉業は外部の人の方が良く分かっているのかもしれない。


とりあえず、ここでパン屋かカフェでも・・・なんて学生が考えるような意見が飛び交い
自分でも出来ることがあるんじゃないかと模索を始めています。
どうにか展示などに漕ぎ着けたいと話を交わしました。





まずはこれだけの事をやった人がここに居たと知られるのが先決だな。




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もしこれを見ている山岳関係者が居て、繋げることが出来たらいいな。
このように鍛冶場がまるまる残っているってとても稀な事だと思う。



よし、山岳博物館の方にコンタクトを取ってみよう。






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こちらは焼入れを象徴する土置きヘラ。
日本刀の修行から始まっているので、ピッケルにその技術が生かされています。
残ってて良かった・・・。




そして二村さんは自伝・記録を残してくれたので、
一人の濃密な人生を通し、戦後日本の姿や登山史も伺い知れます。

もっと言うと人の繋がりやモノづくりの姿勢が本当に素晴らしい。
「ピッケルなんて興味ないよ」という方も今自分が取り組んでいる事に
変換して読んでみてください。より良い人生への学びがあるかもしれないです。






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ついでに二村さんの訪問をそれぞれリンクしておきます。
暑苦しいなぁと思われてしまいますが、充分自覚ありなのでご容赦を。












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もうちょっとだけ続きます。


Commented by oogurai25 at 2025-06-14 10:31
ご本人がた、ご家族や関係のあった方々の想いが継がれていきますように。こうして発信することもつながってゆく貴重な一助だと思います。きっとどこかにつながるはず!技術と言うのは連綿と続いてゆくものと思われがちですが、当人がいなくなってしまうと細かいところまではなくなってしまう、というかやってみて初めて「あれこれどうしていたのだろう」ってなったりするから、、それは誰かが独自に思いついてやっていたことでいちいち伝えることでもないこともいっぱいあるから結果失われてしまったりするんですよね。再発見もあるわけですが従事する人がいなくなるとまた誰かが始める時まで、いえ始める人がいればまだいいのですけれどもしかしたら永遠に失われてしまうかもしれないことでもあります。昔からある手仕事にはそういうものが今、多々ありますよね。技術と労苦とが収入と見合わないことが多いことも後継者がいなくなる一因だとも思います(痛感)。kkaiさまの働きかけが良き方向へのきっかけになることを祈っております。
Commented by kkai0318 at 2025-06-16 21:40
おおぐらいさん

こんばんは~。
本当にそう思います。ご家族に連綿と続いていたらと心から願っています。
明るく接して頂いたのもかなり気を遣って頂いたに違いないと思いました。

技術は一度断絶してしまいそうですが、次の世代に残った口伝や情報を組み合わせて
また新たな何かが生まれる希望を願って。でも仰る通り、細かい所を再現するのはとても大変だと思います。また、情熱とか時代とか後押ししていた周りの環境も違うので
どうなんだろうと考え込んでしまいます。
このピッケルだけでなく、その他の業種、作品でも非常に残念に思うことも多々あり
時代の波にしても寂しすぎると感じます。
技術は無くなり、物だけ残るとそれこそロストテクノロジー扱いになってしまいますね。
物から学ぶしかないというか。。。

確かにそれで生活出来るっていうのも大事で商売や宣伝、
今の時代のデザインを学び続けるとは必要な事が多いですよね。
せめて、せめて自分が出来る事はそんな方向を目指す人の一助になればと思っています。
とにかく勿体なすぎることが多過ぎ、自分の人生が短すぎると痛感しております。
縁があれば繋がると信じて行動してみます。
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by kkai0318 | 2025-06-13 19:00 | 登山道具 | Trackback | Comments(2)