久し振りに釣り道具です。
今夜は魚籠ではなく手前の物を。
このプラスティックで出来た物、
古い古いリールなのです。
リールと言っても現代で目にするような類ではなく、
半固定で楕円の部分が控えめに回るだけ。
道糸の長さを時々変えるためにある物です。
造りは非常にシンプルそのもので、似たような機能であれば
自作も簡単に出来るでしょう。
白いボタンを引き上げればこのように解除されます。
これでクルクル回し、糸を出し入れするという寸法。
延べ竿で釣りをする時、道糸の長さを変えたい時が必ずあるのです。
上下2点の穴でどちらの向きでも固定できる。
穴の所で白いボタンを押すだけ。
これを作っているのは魚籠で有名なTENDER商事。
竹魚籠と餌箱を一体化させた画期的な魚籠なのですが、
現在はメーカーが消滅してしまいました。
主に渓流釣りをする方ならご存知でしょう。
元々国鉄の技術者である畑定良さんが作った会社で、
その高品質で合理的な魚籠は本当に素晴らしい物。
当然、今でも渓流マンを魅了し続けています。
会社は世田谷の千歳烏山にあった。
自分も一つだけ持っていましたが、
猛烈に欲しいという方がいたので手放してしまった。
女々しく未だに後悔していますが使われるなら・・・。
魚籠は堅牢そのものなので相当数が現存していますが、
こちらのプラスティックの物体は極めて残存数が少ない。
プロダクトではよく起こる事です。
子供のおもちゃを始め、ありふれている日常の用具ほど
後世に残りにくい。素材がチープな上、作りも甘い。
そして遠慮なくガンガン使われていくので粉になる可能性が高いのです。
プラスティックの洗濯バサミやコンビニ袋が当時物として
もてはやされる日が来るかも。
自分もこまめに古い釣具屋さんを覗いて探していますが
ここ15年は全て空振りに終わっている。
予備が欲しいのですが、なかなか。。
この一つを大事に使うしかないか・・・。
これは今まで見た中でも古い部類、だと思う。
その「今まで見た」のも2個位なので定かではない。
ellipseは長円、楕円ということ。
単純な物ですが、個人的には竿に付いた姿が美しいと思う。
回した時にだけアイボリーカラーがチラチラ見えるのが良い。
畳んだ時もこう・・違和感が無いというか。
便利も大事ですが、雰囲気はもっと大事。
小さいけどお気に入りのリールです。