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Sauntering  古錆日記・気に入った物、コトをつらつらと。

Day trip 2 (end of the rainy season 2018)



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愛知と言ったら行く所は一つ。




(熱き想いは過去記事にみっちり書いてあるので、お時間あれば・・)



何度来たことか・・・毎回来ても変わらず楽しい。





今回はちょっと相談事があって来ました。
自分の持っているピッケルで聞きたい事がたくさん。




当ブログでよく登場するピッケルですが、
石突きが無く、どうにかして原状回復を考えていたので相談に来たわけです。
それなりに使えるのですが、やっぱりバランスが気になっていた。
自分で出来ることが何か無いかな、という思いでしたが。



最近、体調が優れず、現在は作業は全く行っていないようです。
にもかかわらず・・・。




「どれ・・・」




と作業場に移動して・・・。



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ピッタリ合う石突きを見繕って、取り付けてもらいました。
・・・と簡単に書いていますが、思えば大変な事をしてもらった。




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これまで聞いた話だと、こうして自分の作ったピッケル以外にパーツを取り付ける事はしなかった。
でもピッタリ合うから、と特殊モデルの物を取り付けていただいた。
(ご自分でも今までに有り得ないよね・・(笑 と言っていました)


実は今回お会いした時に以前より元気が無かったので、ちょっと心配でしたが・・・。
作業を始めると別人のようにイキイキ、溌剌をしてきました。
見ていて、別人のように。



やっぱり作業をしている時が一番楽しいらしい。
長く続けて来たことなので、手が覚えている、と。



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特殊モデルの最後の物らしく、それを聞いて更に感激しました。
HOPEと二村ピッケルの合作(?)
振ってみて、そのバランスの良さにシクっときました。
何というか・・・喜びが大きすぎて言葉にできません。



今は縁がなくて、二村ピッケルを持っていませんが、
いつか使える日が来ると思っています。
作った本人の手元には1本も残ってないって、職人冥利のお話。


このピッケルにはしっかり魂が入ったので、雪と言わず泥壁も使っていこうと思います。




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こうして作業をしながら、今まで知らなかった話やピッケルの秘話など
自身の人生と織り交ぜながら話してくれました。
一つ一つが経験に裏打ちされ含蓄深い言葉、仔細漏らさず聞きました。


素材への飽くなき探究と好奇心。
今なお様々な事に興味があるそうです。

そして続けることの大切さと、縁の重要さを強調していました。
「一見、意味がなさそうなことでも後に必ず繋がるから・・・」


万事に通づることです。





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これは銘を刻む鏨。
勿論自作。

この2本で、膨大な数のピッケルとナイフに銘を刻んだ。
普通、触らせて貰えないような物です。



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こちらも自作のヘラ。
「土置き」をする時に使ってたんだよと。

え!?ピッケルに土置き・・・??

二村ピッケルは日本刀のように土置きをして、硬度を高めたい場所を狙って作り出してた。
初めて知った・・・。



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銘を刻む所も見せてもらいました。
今ではやらなくなったので、とても貴重な場面です。
自分のワガママを聞いてもらってしまった。。


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こうした治具を使って刻印していたようですが
慣れてくると使わなかったらしい。






やっぱり、一つ一つの作業が伝説じみています。
今、こうして作業を見られるのは、後の自分の大きな糧となるに違いない。





そして、後継されない勿体なさをとことん感じました。





自分はウッドシャフトのピッケルを偏愛していますが
これが「懐かしい」世代の後には必ず再評価され、新しい目線でこれらを見るようになると思ってます。
しかしその時には技術が断絶されている。

ピッケルとは命に関わる道具なので・・・。
鉄の質や低温時、衝撃を受けた時にも耐えうる形状、適切な肉抜きによる軽量化。
シャフトの木の質や部位の取り方、取り付け・・・。

それらは長い経験や蓄積された技術を通してしか出ないので
いざ作ろうと思った時に、知っている、教えてくれる人が全く居ない現実に直面するでしょう。
見た目は同じに作れても、中身や質は似て非なるものでは余りにも怖すぎる。



二村さんの場合は素材、製法、実地での強度テストが済み、
デザイン性や用途によるモデルまで完成していましたが・・・。
通常であれば、それらを下地に時代のニーズに合わせた製品を作る段階でしょう。

自身で言っていたように、これだけの物が一代限り。。。



重ね重ね、勿体なく残念に思う。




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ここに書いた10倍以上の会話をして、一緒に御飯を食べ、楽しい時間を過ごしました。
なんて幸せな時間なんだろう。




でも楽しい時間はいつか終わる。
そろそろ本日中に帰れなくなるので、辞することに。


秘蔵っ子の物を予約して、愛知を離れます。
また夏に来ることを約束しました。





-------------






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横浜に向けて帰ります。


しかし朝が早かったので、2度寝過ごして逆方向に向かっていた。
バイクと違い、電車は寝過ごすということがあった。

どこかの駅で途方に暮れる所で危なかった・・・・





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鈍行日帰り往復12時間。

名古屋だと余裕で行けます。
お尻が痛くなりますが・・・・。



終電近くに横浜着。
無事に帰宅です。







また来よう。







おしまい。

Commented by pallet-sorairo at 2018-07-03 08:45
二村さん、さすがにいいお顔をなさっていますね。
そして、意外なほどきれいな手をしていらっしゃる。
もっと武骨な手を想像していたのですが。
いいものを見せていただきました。
ありがとうございます。
Commented by marucox0326 at 2018-07-03 17:05
ああ、こちらに訪問されていらっしゃったのですね。
前回の記事で、kkaiさんがいかに二村さんに
心酔していらっしゃるかはわかっておりましたが、ご体調が優れなかったのですね。
でもkkaiさんのご訪問、何より持ち込まれた道具を生き返らせる機会を得た事でご自身も気力が回復されたように思いました。
廃れゆくものづくりの運命を静かに受け入れておられるそのお姿は、寂しいけれどどこかきっぱりとされているようにも感じます。

お食事や会話なども共にできる仲であるkkaiさんとのひとときは、二村さんにとっても素晴らしい活力剤になったのではないでしょうか。

往復十二時間ですか。
濃密な二村さんとの会瀬を反芻するに十分な時間でしたね。
Commented by kkai0318 at 2018-07-03 23:12
pallet-sorairoさん

こんばんは~。
ほんと作業している時、顔が変わります。
いきいきと、淡々と、動作を見て眺めてしまいました。
ずっとやってきた様子が分かります。

手!自分も気付いて聞いたんです。仕事をしなくなってからこんな手になったと。
自分より綺麗な手でした。職人さんは感覚を保つため、手を大事にしている方がいるんです。
金属の感触を鋭敏に感じ取れるため、と解釈しました。
木工の方も綺麗な手をしていますよね~。
Commented by kkai0318 at 2018-07-03 23:20
marucox0326さん

こんばんは~。
そうなんです。時代に触れるような気持ちでお会いします。
最初は元気がなかったのですが、作業を初めてから明らかに変わったので
ほんと素晴らしい事だな、と見惚れていました。
生き返らす機会、そう思ってくれてたら嬉しいですね~。

ほんと仰る通りだと思います。
「一代限りだから・・・」と静かに話していたのが残っています。。
ほんと残念ですが・・。自分にはここまでの覚悟が無いなと実感してしまいます。

近くにあるお蕎麦屋さんでしたが、美味しかったですよ。
前回は時間が無かったので、後悔していたんです。お誘いがあったのに。
活力になってくれたら、それは最高ですね。
夏にまた行くので、ゆっくりと話したいと思っています。

電車は久し振りに長く乗りました。
車窓からの景色を見ながら、二村さんのこと、物作りの事を考えていました。

お尻が平らになるのはカブの方が楽ですね(笑
Commented by leialoha-2007 at 2018-07-09 16:58
kkaiさん、こんにちは♪

読み逃げばかりでごめんなさい。

お昼にこれを読ませて頂いて、何だか色々考えた自分がいました。
一代限りは凄く残念でならないですね。
二村さん、kkaiさんが来てくれて嬉しかったでしょうね。
体調が良くなるといいですね。

余談ですが、もし自分がもう少し若かったら性別関係なく、継承できる事をしたかったなと今更ながらに思うのです。
これは年齢を重ねてきたからこそ日々感じる事であって、若い頃には日本の文化の大切さを何も考えていなかったと反省している所です。

kkaiさん、話は全く別方向へ飛びますが、おせっかいババア発令してもいいですか?
先日、いつものスーパーがリニューアルしまして、今まで売って無かった商品が陳列されていたんです。
目に留まったのが「有限会社宇部煎餅店」の「厚焼きピーナッツ煎餅」
この煎餅、ピーナッツがゴロゴロなんです。
太鼓煎餅よりは甘くないのですが、食べた感ハンパナイです。
見かけたら是非食べてみて下さいませ。(ホントおせっかいだわ~。)
Commented by kkai0318 at 2018-07-09 22:08
leialoha-2007さん

こんばんは~。
いいえ、元気でいるのが分かっていますのですが、雨は大丈夫でしょうか。

二村さんは一代でオシマイ、って決意をしているので
話を聞いて、さっぱりした表情が印象的でした。
刃物を作るのって時代にマッチしているのか、教育からとか色々話をしました。
特に鍛造ピッケルは、現時点では使う人も少なくなってきていますが
時代が進んだら必ず見直される物でしょう。

自分も話を聞きながら継承の事も考えました。
勿体無いと思いつつ、ここまでの決意は無いなと思ってしまいました・・・。
まあ、迷ってしまったんです。
考えるより動けって、出来なくなった自分が歯がゆいんです。

さて、お煎餅の情報ありがとうございます!
実は・・・存じ上げていますよ。美味しいですよね。あのヒレをたまらなく愛しています(笑

でも、七尾のクッキー感を追い求めていると別ジャンルに感じてしまう・・(笑
あの記事を書いた後、一度も七尾を食べていませんが、まだ存続しているだけマシなのでしょうか。
ガッカリするのを承知でまた手を出そうとしています(笑

お気遣い、嬉しいです。
こうして思い出すと・・・きっと食べちゃいます(笑

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by kkai0318 | 2018-07-03 06:13 | | Trackback | Comments(6)