2017年 02月 05日
Cubbing West 9
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奈良県十津川村。
名前の響きだけでチョイスした道ですが・・・。
実際に来てみると、予想外に川が深く彫り込んいる。
来てみないと分からない事ばかり。
ここから見ると、かのボリビア・ユンガスの道のよう・・。
でも通ってみると立派な国道です。
掘削当初は凄かっただろうなと思います。
カブであちこちを走って、そう思う道は結構あります。
しかし・・・猛烈に寒い。
トンネルを越すごとにどんどん気温が下がってきます。
熊野本宮大社辺りはここに比べると温暖そのもの。
暖かそうに見えて、氷点下です。
黙々と走りますが、震えが止まらない。
寒さに慣れてきたと、ダウンを脱いだのがいけなかった。
走っていくと、中心部と思われる集落が見えてきました。
湖の周辺にある温泉街のようです。
・・・ん?温泉?
飲って(やって)いこう。
たまらず寄っていきます。
その入るスピードはルパンも凌ぐほど・・。
あっという間に裸になって、洗って飛び込む。
うう・・・ここは天国か。
単純硫黄泉が体に染み渡る・・・。
源泉横に竹のコップがあり、飲むと体の内部から温まります。
まるでこの瞬間の為に寒さがあったのでは・・とポジティブになる程余裕が出てきます。
これから山側で更に寒くなるから、ちゃんと温まっておきます。
湯上がりもポカポカ。
さあ、服装を万全にして、走ります。
いや・・・入っておいて良かったと後になって分かります。
・・・これから更なる寒さに襲われます。
道中に「龍神温泉」「玉置神社」「天誅組」と気になる看板が出てきます。
あぁ・・・寄りたい。
しかし、この寒さに頭の働きは3分の1。(いつもと同じと言わないで)
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橋の先には「そば」が!
これは食べたい。でも大好きなザル蕎麦はこの寒さだからな・・暖かいのにしよう。
よし、そうしよう。
と瞬時に頭のなかで考えます。
こんな時の行動は、素早い。
ざっと停めて、店内へ。店内へ・・・。
「閉まってる・・・」
ガッカリします。
そして・・・気付いていると思いますが、空から白い綿が降ってきています。
「え!うそ??」
朝に熊野大社で見た綿は雪だったのです。
強風で飛ばされてきた雪だったとは。
よもやあの快晴、雪だとは思わずに「柳の綿はロマンティック・・」と思っていた自分・・・。
阿呆です。
※後に気象台を調べると、強烈な寒波がまさにこの時来ていました。
道理で刺すような寒さだったわけだ。
山側にカメラを向けると・・・。
Oh....。
一目で分かる雪雲。
まさに寒波の中の寒波。
でも道路もカラカラだし、行けるな。
装備を整え、出発です。
あぁ・・天麩羅蕎麦よ、さらば。
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寒さに我慢して、黙々と走る。
「吊橋」とありますが、吊橋どころではない・・・。
これから標高を上げるので、急いで積もる前に峠を通過しないと。
急いで・・・・。
あれ!?
雪が大きくなって、自分に積もるようになってきた。
道には積もってないのでまだ行けるか。
ガソリンスタンドに入って、先の状況を聞く。
「塩カル撒いてあるから通れますよ・・らしいです」
そうか、塩カルか。
あれほどいた車も、何だか少ない。
すれ違う車はジャラジャラとチェーンの音をさせているのも気になる所。
自分の装備は・・ノーマルタイヤにシモンのアイスバイルにザイル10m。
役に立たないな(笑
地図を見ます。
どの道も峠を越える。
引き返す以外にエスケープルートはない。
気温はマイナス5度に路面はマイナス1度。
この辺りで「2度滑ったら引き返そう」ルールを公布します。
この写真が峠を越える前、最後の写真。
この先は撮るという状況ではありませんでした。
路肩には何十台の車が立ち往生。
トンネルの中でチェーンを付けている人、路肩にスリップしてどうして良いか分からない車。
どこかに連絡をしている人・・・・。
路上のプロとも言えるトラックが立ち往生している様子を見ると不安が大きい。
寒さもあると思いますが、無事に越せるのかどうかで震えがきます。
雪山の怖さは登山とはちょっと別種。ビビっている自分を意識します。
冷静にならないと・・・。
よし。
雪の積もった広場を見つけ、荷物満載のカブがどのくらい滑るかテストします。
短いテストで理解したのは・・・。
●圧雪された轍は滑るので危ない。
●現在、凍る前なので、重心をずらさなければジリジリとは進める。
●止まると始動するのにスリップする。
●轍以外の箇所を時速10キロ以下で走れば動く。
●エンジンブレーキを使い、急ハンドル急発進と「急」の付くものは全て避ける。
(車と一緒ですが、重心の高いカブではどんなものか分からなかった。)
●膝下位の積雪は滑らずにいける。
●ギアチェンジは低速で。(高回転だとスリップする)
●焦らない事。
以上の限界点を越えたら、すぐに引き返す。
ルール改定です。朝改暮変どころではありません。
多数の車を横目に、じっくりじっくりと走る。
歩くスピードに近い。
一度止まったら立て直すのにスリップするので、止まらないように。
数々の車が蛇行して付けた轍を避けながら、ジリジリと。
次々と雪がひどくなり、峠付近では吹雪いている様子も。
積雪は轍で20センチ位。
路肩はもっと積もっている感じです。
路肩の人に、「おぉ・・カブは走るな・・」と言われましたが、
手を上げただけで集中力を切らさないようにします。
そう、確かに走る。
ビクビクしながらも、この進み具合に自分でもびっくりしています。
集中して「Qしない、Qしない・・・」と呟きながら(※Qしないとは「急」なことをしないということです)
集中しすぎて肩に力が入って、すでにパンパンです。
カブの旅で最もピンチとも言えるこの瞬間。
雪の中、長そうなトンネルがポッカリ口を空けています。
長いトンネルをくぐると・・・・。
下り道!!!!
遂に核心を越えました。
でもこちら側にも立ち往生している車が列をなしていました。
安全地帯に行くまで油断せず、ゆっくりと。
登りよりも下りの方が怖い。
「ゆっくり、ゆっくりだよぉ・・・」
独り言が多くなるのも、必死な証拠。
心なしか雪が少なくなって来た気がする。
更にどんどん降りていきます。
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段々道に雪が少なくなってきた。
そろそろ休憩しないと、肩が・・・限界。
喉もカラカラで、体も震えています。
いや~、参った参ったと雪を落とします。
改めてカブを見るとなかなかの雪だったのが伺えます。
払い落とした後ですが、凍っていました。
ここにも雪が積もっていた。
走りながら落としていましたが、バッチリ凍っています。
凍りかけたシャリシャリのコーヒーを飲み、一息。
無事に危険地帯を越えられた事に安堵します。
思い返してみると・・。
暴風~熊野本宮大社~温泉~雪道までの流れはなかなかの困難。
まずいと思いながら、必死になる自分が可笑しかった。
これまた熊野の過ごし方の1つでしょうか。
ゆとりが出てきたので、改めて周囲の雪景色を楽しみます。
綺麗です。
世界があっという間に変わってしまった。
無事に越えたから言える「いろんな世界が見られていいじゃない!」
これからずっと下り道。
雪の状況は分かりませんが、峠よりは大丈夫でしょう。
続きます。
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第一回プラチナブロガーコンテスト
これを書かれていると言う事は無事御帰還 良かったです(バンザイを三唱したいくらいですよ)
雪情報を聞いただけで車どころか出かけません。
わたしも2輪(ノーマルタイヤ)で雪道を走ったことがあります。
上着の胸のあたりと腕のあたりがびっしり凍っちゃうし、全身に力が入っちゃって疲労感半端なし。
路肩の氷の塊に乗り上げた時は、自身が固まりましたw
危なさばっかりなので、もう2度と基本、乗っちゃダメですよねw
無事であったことが何よりです。
良かったです。
この後は肩の力を抜いて拝見させてくださいね(笑)
(すぐに入り込んでしまう性格か)
こういうの、こわいです。
霧が出ただけで、泣き声になる。
しかし、落ち着いて行動できるなんて、勇気がありますね。
アウトドアマンはこうでなくちゃね。
力作です。
まじっすかーーーーー!!!!!!!
まさか。。あの大寒波のときに… と。。。。とつかわ。。。。
しかも かぶ。。。。。。。。
Qしない神だーーー!!!
よくぞご無事で 冷静な判断と 冷静な「マイルール」に感動してます。
なぜか 涙が。。。ウルウル ウルウル
こんばんは~。
書いているだけでも思い出して力が入ってしまいました(笑
小さく滑ったのは何度あったか覚えていませんが・・。
仰る通り、無事に戻りました!
バンザイをありがとうございます!
雪の時は走らない方が良いですね~。良く分かりました。
こんばんは~。
やはり似たような状態になるんですね。
2輪は1人も居なかったです。賢明な判断だと思います。
スマホで逐一情報が分からないというのも、この状況になった要因でしょうね。
全身こわばっていくって、気付いててもなっちゃうんですよね(笑
自分は対向車と、路肩の溝が恐怖でした。
そうそう、基本・・乗っちゃ駄目ですね(笑
無事で安心したのですが・・・油断禁物ということがこの後分かりました。
ありがとうございます!
こんばんは~。
自分もこの時は一体どうなるの・・自分?って思っていました(笑
上でも書きましたが、書いている時も思い出してヒヤヒヤしています。
怖いですよね・・・。山とは違う怖さを感じました。
コントロールできないというか・・。
冷静になれなかったので、広場で「どこがカブの限界点なんだろう」と
落ち着きを取り戻そうとしたのが大きかったです。
限界点を知ると、落ち着きます。
もちろん、ずっと怖かったですけどね(笑
こんばんは~。
マジです(笑
あの時は寒かった・・・。十津川村はあんなに雪降んですか?
いつもの事を知らないので・・。
Qしないって、呪文のように唱えていました(笑
そして「やれば出来る、お前は出来るやつだ・・」とも(笑
マイルールは峠の方では破っていましたけどね・・。
かなり何度も滑りましたが、転ぶことは無かったです。
その時は全身が粟立つようにどっと疲れました。
対向車と、元気な追い越し車が一番怖かった・・・。
最後の写真の場所ではガッツポーズしましたよ!(笑
こんばんは~。
東北はみんなどんな感じでカブに乗っているのでしょうか・・。
スノータイヤもあるみたいですけどね。
さらに気温も低いから、気になっています。
近畿地方であんな雪になるとは全く思っていませんでした。
まだまだ続きます~!
温泉温泉!もちろん入るでしょ!とか突っ込みながら・・・
でも佳境の部分からは、いや~もう戻って!とか
引き返すのも大変そうとか、ドキドキしながら読みましたよ(^^;
あ~、肩がこりましたよ。
綿毛と言う言葉に北海道人反応しました。
すかさず画面の前で突っ込み入れたんです。
「雪だろうに・・・。」( ´艸`)
「まさか行くんじゃないよね。えっ、行くんだ。」
ご無事で何よりですが、無理しないで下さいね。
私もカブ乗りですが^^ 今回も手に汗握る思いで読ませていただきました。
カブは足着きもいいですし、雪道でも郵便、新聞屋さんは乗っておられますからそこそこ走破性はあると思いますが、これだけの荷物を積んでノーマルタイヤではさぞや不安であられたかと。。よくぞご無事で越えられました。
それにしても随分と遠くまでいらしたものですね。
また更新を楽しみにしています♪
いや~ 肩こりました!
ジャンバーの胸元凍ってるあたりは もう涙ぐましいです(;;
いつも どういう状態でカブにまたがってるんだろ?って不思議に思ってます。
肩に力入って ハンドル握る手にも力入って 自分で自分をいさめる独り言 わかります!
御無事で何より!
思ったよりも走破性が良くて、なんとかなるものだと思いましたが、若かったから出来た事でしょうね。
とにかくお疲れ様でした。
こんばんは~。
今回、バイクで雪道を走ったのは初めてなんですが、こんなにビビるとは思いませんでした。
あの・・にっちもさっちもいかなくなるような雰囲気が・・(笑
renchiyanさんも経験ありなんですね。オフロードとかでしょうか?
天気が悪化の一途を辿ってたので、全くどうなるかと思っていました。
無事にこの峠は切り抜けられました~。
こんばんは~。
確かに!(笑
肩をほぐしますので、許してくださいね(笑
自分でも最大限に焦りました(以前の故障した時より焦ったかも・・)
雪景色を見る余裕が全く無かったので、改めて見て「綺麗だな・・」って
余裕が出た証拠ですね。
ご心配お掛けしましたが・・また掛けるかもしれません(笑
心配、嬉しいです。
こんばんは~。
書いていて、「どれだけ寒かったんだっけ・・?」と忘れかけています(笑
温泉の有り難さを久し振りに感じました。ちょっと熱いお湯でしたが、出てきている場所に張り付いて
いました(笑
いや・・戻ろうと何度も思ったんですが、もう、行っちゃった方が帰って安全かもなんて
思ったんです。峠に至るまでには下りも結構あったので行くことにしたんです。
ご心配、ありがとうございます!
こんばんは~。
ここにも肩が凝ってしまった方が1人(笑
熊野の時はホント触れない位の綿毛だったので、「まさか・・」って思ったんです。
川沿いだったので、季節外れの種飛ばしをしている木があるかも、って。
北海道の方はさすがです。
はい、行っちゃいました(笑
最悪は降りて押せば大丈夫かな、その場でテントを張って寝れば何とかなるって
思っていましたので肝が座ったのかもしれません(怖かったですが)
無理はしないほうがいいなって今回良く分かりました~。
ありがとうございます!
こんばんは~。
コメントをありがとうございます!
カブ乗りなんですね~!とっても嬉しいです。
確かに関東でも雪の中を走っている郵便屋さんは見たことがあるのですが、
たしかチェーンを巻いていたよな・・って思い出し焦りました。
自分で走ったことが無かったので、あのグリップの感じ、いい経験でした。
歩行者並のスピードで振り始めだったから行けたのでしょうね。
凍って圧雪されていたら無理だったかと・・。
そう!この時に、やっと遠くにいるって実感したんです(笑
それも不安要因だったのかも・・。
まだまだ続きますので、遊びに来てくださいね。
ありがとうございます!
こんばんは~。
ご訪問とコメントをありがとうございます!
この部分が一番雪が集まりますね・・・こんなに溜まるとは思ってもいませんでした・・。
軍艦鳥みたくなりましたよ・・。
カブの乗車姿勢は猫背にならないようにしていまして、この時もバランスを取るために
直立不動のようでした(笑
リラックスしてしまうと、雪にタイヤを取られた時に対応出来なかったので
自然、コチコチに・・。
独り言多くなりますよね。これを聞かれていたら、なんて奴だと思われますね~(笑
ご心配ありがとうございます!
こんばんは~。
同じような経験をされているんですね~。
って、それは思いつきもしませんでした!
走破性がいい・・(メモメモ・・)
確かによく効きそうですね。いざという時の裏技にしてみます(笑
緊張でガチガチになりましたが、ゆっくり行けば何とかなるもんですね。
でも甘く見ないで引くのも勇気と肝に命じました。
朝早く出たのもそこまで焦らなかった一因かもですね。
まだ・・安心できないんです(笑
こんばんは~。
お元気ですか?寒い毎日が続いていますね~。
この旅は天気ばかりに目が行って、寒気や気圧配置なんかは見ていなかったんです。
去年の旅と比べても格段の寒さでした~。
走っている時に何度も思ったのですが、凄いのは自分でなくてカブのほうです(笑
座って寒さを我慢してれば目的地に着く一方、カブはエンジンを回しっぱなしなんです。
馬とかだったゼイゼイだろうなって、何回も褒めましたよ(笑
そうなんです、ここで旅が終わったわけではなく・・。
まだまだ続きます~!
あの寒波の中をカブで走られたのですね。
引き返すよね?と、思いながら読んでいましたが
慎重に峠を越えられましたね。ドキドキしました。
十津川村には、神戸に住んでいた従姉妹が移住しています。
山深いけど雪はあまり積もらないと聞いていましたが
あの日は例外だったのですね。
数年前から遊びに行く予定をたてるたびに台風で道路が寸断され
未だに行く機会がなく「陸の孤島」と呼んでいます。
次はどなたにお会いするのでしょう?楽しみにしています。
こんにちは~。
すっかり返事が遅くなりました!
後で知ったのですが、この時の寒波は強烈みたいだったようです・・。
走っている途中も、引き返す車はたくさんいました。
でもカブはスリップせずに走っていたので、もう引き返せない場所へ・・(笑
ゆっくりだと何とかなりましたよ~。
従姉妹がお住いなんですね。
羨ましく思いますよ。お住いの方に話を聞いたら、日照時間が少ないんだよねって
言っていました。想像以上に谷が深くて走りながら驚きましたよ。
降水量が凄い多いみたいですね。十津川は。
陸の孤島・・(笑
確かに。どこから入るにも山を越えないといけませんね。
道路工事が多くされていたのも地勢と気候の影響でしょうね。
すっかり返事が遅くなってしまったのですが・・次記事に続いていますので
お時間ある時に読んでくださいね~!